立体図形の体積比 第6問 (甲陽学院中学 2000年 受験問題 算数)
問題 (甲陽学院中学 2000年 受験問題 算数)
難易度★★★★★
同じ大きさの正三角形4枚からできる立体を2つ作り、
A,Bとし、下の図1のように、一方の1つの頂点が他方の
正三角形のまん中の点に重なるようにします。
正三角形のまん中の点とは、各頂点からの長さが等しい点を
意味します。また、図1で、A,Bの太線で囲まれた面は、たがいに
平行で、真上から見ると重なって見える状態になっています。
このとき、次の問に答えなさい。
(1)図1で、立体A,Bの重なった部分(図の灰色の部分)の体積と
立体Aの体積の比を答えなさい。
(2)図1の状態から、A,Bの太線で囲まれた正三角形のまん中の
点を通る直線を軸として、立体Aだけを60度回転させました。
下の図2は、そのときのA,Bの太線で囲まれた正三角形の
位置を表しています。図2を利用して、このときの立体A,Bの
重なった部分の体積と立体Aの体積の比を答えなさい。
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解答
(1)図1では、下の図3のように三角形OLMと三角形NPMが
OLとPNが平行で長さが等しいので合同となります。
よって、OM=MN,PM=MLで、点Mは正三角形の辺の
まん中の点ということがわかります。
すると、下の図4のように、立体AとBの重なった部分の
黄色い三角形は正三角形で、辺MQの長さは、
青い正三角形の1辺の長さの半分ということがわかります。
黄色い正三角形と青い正三角形の相似比が1:2なので、
AとBの重なった部分と、立体Aの体積比は、
1×1×1×2 : 2×2×2=1:4 と求められます。
(2)まず、図2の太線の正三角形と、各面のまん中の点を
結んでみると、下の図5のようになります。
ここで問題となるのが、重なっている部分は、どういう形なのか、
です。
誤りやすい落とし穴として、下の図6のように考えてしまう場合が
あります。
図6は、単に引いた線が交わっただけで、実際の立体は
交わっているわけではありません。よく考える必要があります。
では、どのように交わっているのか、どうすればわかるでしょう。
それにはまず、立体A,Bを真上から見た図を理解することです。
下の図7のように、
60°ずれていることを理解しましょう。
次に考えることは、軸から底面の正三角形の頂点への切り口で、
下の図8の青線の面です。この面は、下の図9のように、
OTとPRの交点Sで、AとBが交わっていることがわかります。
図7または図8から、OR:PT=1:2 で、ORとPTが平行なので、
三角形SORと三角形STPは、相似比1:2で相似とわかり、
OS:ST=1:2、RS:SP=1:2 ということがわかります。
すなわち、立体AとBの交わる点は、各辺を1:2または2:1に
分ける点であることがわかり、下の図10のように場所を特定
できるので、各点を結べば下の図11のようになり、
OS:ST=1:2、WV:VP=2:1、OU:UN=1:2 となる
S,V,Uなどで、立体AとBは交わることがわかります。
立体AとBの重なった部分は、下の図12の立体となりますが、
このうち、立体O-USY、立体P-XVZ は、
立体A,Bの1辺の長さの3分の1の長さの立体で、
つまり相似比1:3の立体なので、体積比は、
1×1×1:3×3×3=1:27 です。
立体Aの体積 : (立体O-USY+立体P-XVZ)の体積=27:2
次に、間の立体USY-XVZについて考えると、
A,W,V,Sを含む面とO,U,Nを含む面が平行なので
SVとOUは平行、
同様に、U,V,Wを含む面とO,S,Tを含む面が平行なので
UVとOSは平行、OS=OUなので、
四角形OUVSは、正三角形を2つ合わせたひし形 とわかります。
同様に、すべての面が正三角形であることから、
立体USY-XVZ は、下の図13のような三角すい台から
立体O-USYと同じ体積のものを3つ除いた正八面体である
ことがわかります。
上の三角すいは、立体Aの3分の2なので、立体USY-XVZは、
立体O-USYが2×2×2-4=4個分の体積で、
立体AとBの重なった部分の体積と立体Aの体積の比は、
2+4:27=6:27=2:9 とわかります。
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