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2010年9月24日 (金)

立体図形の体積比 第6問 (甲陽学院中学 2000年 受験問題 算数)

 

問題 (甲陽学院中学 2000年 受験問題 算数) 

     難易度★★★★★

 

 同じ大きさの正三角形4枚からできる立体を2つ作り、

A,Bとし、下の図1のように、一方の1つの頂点が他方の

正三角形のまん中の点に重なるようにします。

       Pic_1848q_2

正三角形のまん中の点とは、各頂点からの長さが等しい点を

意味します。また、図1で、A,Bの太線で囲まれた面は、たがいに

平行で、真上から見ると重なって見える状態になっています。

 このとき、次の問に答えなさい。

 

(1)図1で、立体A,Bの重なった部分(図の灰色の部分)の体積と

   立体Aの体積の比を答えなさい。

(2)図1の状態から、A,Bの太線で囲まれた正三角形のまん中の

   点を通る直線を軸として、立体Aだけを60度回転させました。

   下の図2は、そのときのA,Bの太線で囲まれた正三角形の

   位置を表しています。図2を利用して、このときの立体A,Bの

   重なった部分の体積と立体Aの体積の比を答えなさい。

       Pic_1849q

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解答

 (1)図1では、下の図3のように三角形OLMと三角形NPM

OLとPNが平行で長さが等しいので合同となります。

      Pic_1850a

よって、OM=MN,PM=MLで、点Mは正三角形の辺の

まん中の点ということがわかります。

 

すると、下の図4のように、立体AとBの重なった部分の

黄色い三角形は正三角形で、辺MQの長さは、

青い正三角形の1辺の長さの半分ということがわかります。

      Pic_1851a

黄色い正三角形と青い正三角形の相似比が1:2なので、

AとBの重なった部分と、立体Aの体積比は、

 1×1×1×2 : 2×2×2=1:4 と求められます。

 

 

 (2)まず、図2の太線の正三角形と、各面のまん中の点を

結んでみると、下の図5のようになります。

      Pic_1852a

ここで問題となるのが、重なっている部分は、どういう形なのか、

です。

 

誤りやすい落とし穴として、下の図6のように考えてしまう場合が

あります。

Pic_1853a

図6は、単に引いた線が交わっただけで、実際の立体は

交わっているわけではありません。よく考える必要があります。

 

では、どのように交わっているのか、どうすればわかるでしょう。

 

それにはまず、立体A,Bを真上から見た図を理解することです。

下の図7のように、

       Pic_1854a

60°ずれていることを理解しましょう。

 

次に考えることは、軸から底面の正三角形の頂点への切り口で、

下の図8の青線の面です。この面は、下の図9のように、

       Pic_1855a

OTとPRの交点Sで、AとBが交わっていることがわかります。

 

図7または図8から、OR:PT=1:2 で、ORとPTが平行なので、

三角形SORと三角形STPは、相似比1:2で相似とわかり、

OS:ST=1:2、RS:SP=1:2 ということがわかります。

 

すなわち、立体AとBの交わる点は、各辺を1:2または2:1に

分ける点であることがわかり、下の図10のように場所を特定

できるので、各点を結べば下の図11のようになり、

        Pic_1856a

 OS:ST=1:2、WV:VP=2:1、OU:UN=1:2 となる

S,V,Uなどで、立体AとBは交わることがわかります。

 

立体AとBの重なった部分は、下の図12の立体となりますが、

        Pic_1857a

このうち、立体O-USY、立体P-XVZ は、

立体A,Bの1辺の長さの3分の1の長さの立体で、

つまり相似比1:3の立体なので、体積比は、

  1×1×1:3×3×3=1:27 です。

立体Aの体積 : (立体O-USY+立体P-XVZ)の体積=27:2

 

次に、間の立体USY-XVZについて考えると、

A,W,V,Sを含む面とO,U,Nを含む面が平行なので

 SVとOUは平行、

同様に、U,V,Wを含む面とO,S,Tを含む面が平行なので

 UVとOSは平行、OS=OUなので、

四角形OUVSは、正三角形を2つ合わせたひし形 とわかります。

 

同様に、すべての面が正三角形であることから、 

立体USY-XVZ は、下の図13のような三角すい台から

立体O-USYと同じ体積のものを3つ除いた正八面体である

ことがわかります。

Pic_1858a

上の三角すいは、立体Aの3分の2なので、立体USY-XVZは、

  立体O-USYが2×2×2-4=4個分の体積で、 

立体AとBの重なった部分の体積と立体Aの体積の比は、

  2+4:27=6:27=2:9 とわかります。

 

 

 甲陽学院中学の過去問題集は → こちら

 甲陽学院中学の他の問題は → こちら

 

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