図形の移動 第12問 (開成中学 2001年(平成13年度) 算数入試問題)
問題 (開成中学 2001年 算数入試問題) 難易度★★★★★
下の図のような台形ABCDがあります。同じ印のある辺の長さは
等しいものとして、次の問に答えなさい。
(1)三角形OBEを、点Oを中心にして、点E が辺CD上に初めて
重なるまで時計回りに回転させました。このとき、四角形ABOEの
うち、三角形OBEが通らなかった部分を図に示しなさい。
(2)(1)の部分の面積は、三角形OBEの面積の何倍ですか。
(3)OE の長さを求めなさい。
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解答
(1)台形ABCDは等脚台形なので、角B=角Cです。
また、BA,CDを延ばし、交点をP とすると、下の図1のように
三角形PADと三角形PBCは相似で、
相似比=AD:BC=1:2 となり、AB=8cmなので、
PA=PD=8cmと求められ、このことから三角形PADは正三角形
ということがわかります。
よって、三角形PBCも正三角形なので、角B=角C=60度です。
三角形OAB、OCDは共に二等辺三角形で、角B=角C=60度
なので、三角形OAB、OCDも正三角形とわかり、このことから、
OA=OD=8cmと求まり、台形ABCDは、図2のように、3個の
正三角形OAB,ODA,OCDから構成されていることがわかります。
図2をよく見ると、三角形OABを60度時計回りに回転させると
三角形ODAの位置に。三角形ODAを60度時計回りに回転
させると、三角形OCDの位置に来る、というイメージが見えます。
三角形ODAを60度回転させると、三角形OCDの位置にくるので、
そのとき点E はどこの位置にくるかというと、下の図3のように、
DF=3cmとなる点Fの位置になります。
OE がどこへ回転するかを考えるだけでなく、OE を含む
三角形ODAの回転を考えるとよいでしょう。
三角形OAE と三角形ODFについては、
OA=OD、AE=DF、角OAE=角ODF なので合同で、
当然ながらOE =OF と証明されます。
ここで、OE からOF まで、どれくらい回転したのか、
回転角度=角EOF =角EOD+角DOF となります。
ここで、角DOF=角AOE なので、
角EOD+角DOF=角EOD+角AOE=角AOD=60度 です。
すなわち、三角形OBEが60度回転すると、点E はCD上の点F
まで移動することがわかります。
回転角度がわかったので、辺OBを60度回転させてみましょう。
すると、角AOB=60度なので、点Bは、点Aの位置に移動し、
図4のように三角形OAFに、三角形OBEは移動することに
なります。
移動先がわかったので、問題の通過部分について調べます。
辺OBは、回転させると扇形OABの部分を通るので、
三角形OABの部分はすべて通ります。
よって、四角形ABOEのうち、三角形OBEが通らない部分は、
下の図5の色のついた部分ということになります。
(2)AFとBEの交点をG とします。
三角形OBEの面積は、等積移動させて正三角形OABの面積と
等しいので、正三角形と三角形AEGの面積比を求めていきます。
すると、三角形ABE において、BG:GEを求めればよさそうです。
なぜなら、三角形ABEは、等積変形によって、三角形AOE と
等しくなり、AE:ED=3:5 より、これは正三角形の3/8の面積に
相当するからです(図6)
BG:GEの比を求めるには、AEとBCが平行であることを利用して
AFとBCの交点をHとすると、三角形AEGと三角形HBGが相似に
なるので、BG:GE=BH:AE より求めることができます(図7)
そこで、BHを求めなければなりません。
BHのうち、BC=16cmとわかっていますので、CHを求めます。
ここで、図8のように、三角形ADFと三角形HCFが相似である
ことを利用すると、DF=3cm、FC=5cmなので、
AD:CH=3:5 という比であることがわかり、AD=8cmより、
CH=8÷3×5=40/3 (cm) です。
よって、BH=16+40/3=88/3 (cm)です。
ゆえに、BH:AE=88/3 : 3=88:9 なので、
BG:GE =88:9 とわかります。
三角形AEG は、三角形ABEの9/97 で、
三角形ABE は、三角形OBE の3/8 なので、
三角形AEGは、三角形OBEの
3/8 × 9/97 =27/776(倍) となります。
(3) (1)より、三角形OEF は正三角形です。
また、三角形OAE と三角形ODF は合同なので、
四角形OEDF の面積は、正三角形OADの面積と等しい
ことがわかります。このことを利用すると、正三角形OEF の
面積は、四角形OEDF から、三角形DEF の面積を除いたもの、
すなわち正三角形OADの面積から、三角形DEFの面積を
除いたものとなります。
三角形DEFの面積は、正三角形の面積の(3/8)×(5/8)=
15/64 に相当するので、正三角形OEF の面積は、
正三角形OADの面積の、1-15/64=49/64 になります。
すなわち、面積比が、1:49/64 です。
これは、相似比が、1:7/8 ということを示しています。
よって、正三角形OADの1辺が8cmなので、
正三角形OEF の1辺は7cmということです。
よって、OE =7cm とわかります。
<別解>
三角形OEF が正三角形なので、ODとEFの交点をJとすると、
図10の三角形OEJ と三角形OED は、角度がすべて等しいので
相似であることがわかります。
すると、OE :OJ =OD : OE という比が成り立ちます。
OD=8cmとわかっているので、OJの長さを求めるため、
EFの延長とOCの延長の交点をI とすると、
三角形DEF と三角形CIFは相似で、相似比は
DF:FC=3:5とわかります。
よって、CI =ED÷3×5=25/3 cm と求められ、
三角形EDJ と三角形IOJ が相似なことから、
DJ:OJ=ED:OI =5:8+25/3=5:49/3=15:49
よって、OJ=8÷(15+49)×49=49/8 (cm)
と求めることができます。
OE : OJ=OD : OE に数値を入れると、
OE :49/8 =8 :OE となります。
よって、OE × OE =8×49/8=49 となり、
OE =7 (cm) と求められます。
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