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2009年12月 4日 (金)

図形の移動 第12問 (開成中学 2001年(平成13年度) 算数入試問題)

 

問題 (開成中学 2001年 算数入試問題) 難易度★★★★★

 

下の図のような台形ABCDがあります。同じ印のある辺の長さは

等しいものとして、次の問に答えなさい。

  Pic_0760q

 (1)三角形OBEを、点Oを中心にして、点E が辺CD上に初めて

重なるまで時計回りに回転させました。このとき、四角形ABOEの

うち、三角形OBEが通らなかった部分を図に示しなさい。

  

 (2)(1)の部分の面積は、三角形OBEの面積の何倍ですか。

 

 (3)OE の長さを求めなさい。

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解答 

 (1)台形ABCDは等脚台形なので、角B=角Cです。

また、BA,CDを延ばし、交点をP とすると、下の図1のように

三角形PADと三角形PBCは相似で、

  Pic_0761a

相似比=AD:BC=1:2 となり、AB=8cmなので、

PA=PD=8cmと求められ、このことから三角形PADは正三角形

ということがわかります。

 

よって、三角形PBCも正三角形なので、角B=角C=60度です。

 

三角形OAB、OCDは共に二等辺三角形で、角B=角C=60度

なので、三角形OAB、OCDも正三角形とわかり、このことから、

OA=OD=8cmと求まり、台形ABCDは、図2のように、3個の

正三角形OAB,ODA,OCDから構成されていることがわかります。

 Pic_0762a_2

図2をよく見ると、三角形OABを60度時計回りに回転させると

三角形ODAの位置に。三角形ODAを60度時計回りに回転

させると、三角形OCDの位置に来る、というイメージが見えます。

 

三角形ODAを60度回転させると、三角形OCDの位置にくるので、

そのとき点E はどこの位置にくるかというと、下の図3のように、

DF=3cmとなる点Fの位置になります。

 Pic_0763a_2

OE がどこへ回転するかを考えるだけでなく、OE を含む

三角形ODAの回転を考えるとよいでしょう。

 

三角形OAE と三角形ODFについては、

OA=OD、AE=DF、角OAE=角ODF なので合同で、

当然ながらOE =OF と証明されます。

 

 ここで、OE からOF まで、どれくらい回転したのか、

回転角度=角EOF =角EOD+角DOF となります。

ここで、角DOF=角AOE なので、

角EOD+角DOF=角EOD+角AOE=角AOD=60度 です。

 

すなわち、三角形OBEが60度回転すると、点E はCD上の点F

まで移動することがわかります。

 

回転角度がわかったので、辺OBを60度回転させてみましょう。

すると、角AOB=60度なので、点Bは、点Aの位置に移動し、

図4のように三角形OAFに、三角形OBEは移動することに

なります。

  Pic_0764a

移動先がわかったので、問題の通過部分について調べます。

 

辺OBは、回転させると扇形OABの部分を通るので、

三角形OABの部分はすべて通ります。

 

よって、四角形ABOEのうち、三角形OBEが通らない部分は、

下の図5の色のついた部分ということになります。

  Pic_0765a

 

 (2)AFとBEの交点をG とします。

三角形OBEの面積は、等積移動させて正三角形OABの面積と

等しいので、正三角形と三角形AEGの面積比を求めていきます。

  

すると、三角形ABE において、BG:GEを求めればよさそうです。

なぜなら、三角形ABEは、等積変形によって、三角形AOE と

等しくなり、AE:ED=3:5 より、これは正三角形の3/8の面積に

相当するからです(図6)

  Pic_0766a

 BG:GEの比を求めるには、AEとBCが平行であることを利用して

AFとBCの交点をHとすると、三角形AEGと三角形HBGが相似に

なるので、BG:GE=BH:AE より求めることができます(図7)

Pic_0767a

そこで、BHを求めなければなりません。

BHのうち、BC=16cmとわかっていますので、CHを求めます。

ここで、図8のように、三角形ADFと三角形HCFが相似である

ことを利用すると、DF=3cm、FC=5cmなので、

Pic_0768a

AD:CH=3:5 という比であることがわかり、AD=8cmより、

CH=8÷3×5=40/3 (cm) です。

 

よって、BH=16+40/3=88/3  (cm)です。

 

ゆえに、BH:AE=88/3 : 3=88:9 なので、

BG:GE =88:9 とわかります。

 

三角形AEG は、三角形ABEの9/97 で、

三角形ABE は、三角形OBE の3/8 なので、

三角形AEGは、三角形OBEの

3/8 × 9/97 =27/776(倍) となります。

 

 (3) (1)より、三角形OEF は正三角形です。

   Pic_0769a

また、三角形OAE と三角形ODF は合同なので、

四角形OEDF の面積は、正三角形OADの面積と等しい

ことがわかります。このことを利用すると、正三角形OEF の

面積は、四角形OEDF から、三角形DEF の面積を除いたもの、

すなわち正三角形OADの面積から、三角形DEFの面積を

除いたものとなります。

 

 三角形DEFの面積は、正三角形の面積の(3/8)×(5/8)=

15/64 に相当するので、正三角形OEF の面積は、

正三角形OADの面積の、1-15/64=49/64 になります。

すなわち、面積比が、1:49/64 です。

これは、相似比が、1:7/8 ということを示しています。

よって、正三角形OADの1辺が8cmなので、

正三角形OEF の1辺は7cmということです。

よって、OE =7cm とわかります。

  

 

 <別解>

  三角形OEF が正三角形なので、ODとEFの交点をJとすると、

図10の三角形OEJ と三角形OED は、角度がすべて等しいので

相似であることがわかります。

Pic_0770a_2

すると、OE :OJ =OD : OE という比が成り立ちます。

  

OD=8cmとわかっているので、OJの長さを求めるため、

EFの延長とOCの延長の交点をI とすると、

三角形DEF と三角形CIFは相似で、相似比は

DF:FC=3:5とわかります。

  

よって、CI =ED÷3×5=25/3 cm と求められ、

三角形EDJ と三角形IOJ が相似なことから、

DJ:OJ=ED:OI =5:8+25/3=5:49/3=15:49

よって、OJ=8÷(15+49)×49=49/8 (cm)

と求めることができます。

 

OE : OJ=OD : OE   に数値を入れると、

OE :49/8 =8 :OE となります。

 

よって、OE × OE =8×49/8=49 となり、

OE =7 (cm) と求められます。 

 

 

 開成中学の過去問題集は → こちら

 開成中学の他の問題は → こちら

 

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